電車に長いこと揺られ、山陰の地に降り立ったときの、あのホッとする感じは、毎度のことながら、心にしみるものがあります。普段は都会で暮らすわたしが見つけたのは、島根県・松江市にある「てまひま料理 根っこや」という居酒屋さんです。JR山陰本線・松江駅から7分。宍道湖遊覧船第2乗船場からも近く、夕日クルージングを満喫した後にもピッタリです。
1階のカウンター席に座り、一人飲みをゆっくり楽しむ―それがこちらの過ごし方。地元のお客さんだけでなく、観光客も適度に交じり、皆さん上機嫌に笑顔を浮かべているのがとても印象的です。2階は、フロアごとの貸し切り、最大50名まで対応可能で、大人数での宴会にはもってこい。絵本作家・村上康成さんご贔屓の「村上部屋」なる8名用の個室の壁にはご本人によるイラストもあったりして、一度は利用してみる価値ありです。
ビールなどの一杯でひと息ついたら、まずは「おでんの盛り合わせ」を注文したいところです。というのも、この街では序盤におでんを肴にすることが一般的と言います。その流儀にならって試してみれば、ご主人の祖母の代から変わらないというやさしい味わい。店内のあちこちから聞こえてくる出雲弁の響きも実に心地よく、はるばるやって来てよかった、と早々に実感します。
特約店しか置いていないレアな王祿酒造さんの「超王祿」に切り替え、深い余韻を感じる喜び。相棒は「根っこや特選7種盛り」で、ヒラマサやタイ、アジなどの日本海の恵みが、口の中で軽快に踊ります。白身のトロとも評される高級後「のどぐろの塩焼き」に続いて、しまね和牛が味わえる「和牛のローストビーフ」にも思わず手が伸びます。順調に杯が重なる頃、意外性が嬉しい「フォアグラの茶碗蒸し」にロックオン。「丈径 無濾過生原酒」とのマリアージュもまた格別です。
満足感に浸りながら、外に出ると、大橋川から吹く涼しげな風が、火照った身体を軽く撫でてくれます。松江の「てまひま料理 根っこや」―いつ訪れても変わらない安心感に包まれるお店です。
店名 てまひま料理 根っこや（てまひまりょうり ねっこや）
TEL 0852-24-2060
住所 〒690-0006 島根県松江市伊勢宮町542-6
アクセス JR山陰本線「松江駅」北口より徒歩7分
営業時間
[ランチ]
11:30～14:00
[ディナー]
月曜日～木曜日、日曜日、祝日、祝前日
17:00～22:30（L.O.22:00）
金曜日、土曜日
17:00～23:00
